• 横山 佳菜子

「心の中の勝負は51対49のことが多い」ーキャリアの2%理論

先日、SNSを眺めていたら河合隼雄先生の名言集という記事が目に留まった。


京都大学名誉教授 河合隼雄が残した言葉

https://kokoro-movie.com/2019/02/03/post-20101/



実は高校生の頃、河合先生の『魂にメスはいらない』をたまたま手に取って心理学を志した私。(学部の4年であっさり離脱したけど)


クリックしてじっくり読む。河合先生らしいユーモアをまとったシャープな表現が続く。その中でも特にぐっと来たのがこの言葉。





「心の中の勝負は51対49のことが多い」

ああ、そうだよなあと。


心の中で揺らぐとき、決めきれなくて悩むときって、8対2とか7対3みたいな大差じゃなくて、僅差だから勝負を簡単に付けられなくて考えあぐねてしまうもの。


例えば、自分のキャリアを考えるとき。


今やっている仕事と本当にやりたい仕事。

いまのままレールに乗っていったときに得られる報酬と乗り換えたときに得られる報酬。

いまのままとどまることのリスクと踏み外すことのリスク。

天秤にかけて想い悩む。


自分を活かせて、スキルが得られて、周りの人が素敵で、やりがいがあって、世の中を良くすることができて、休日が多くて、憧れの先輩がいて、経営者がビジョナリーで、食いっぱぐれることのない仕事。これらの要素を“誰にとっても”満たせる会社はない。


自分にとって何が正解なのか分からなくて思い悩む。正解はない。頭では分かっていても、どこかにあるんじゃないかと探す。この袋小路にはまり込む人は、多い。



「心の中の勝負は51対49のことが多い」


この言葉を見た時、2%の僅差を決めた経験が今まで何度あっただろう、とわが身を振り返った。道なりに進むのではなく、自覚的に意思を持って選び取った経験。恥ずかしながらそれほど数はない。


思えば、学生時代から、答えのある問題を大量に解くトレーニングを受け、偏差値や人気企業ランキングで学校や会社を選び、仕事を初めてからも先輩たちの振る舞いや代々受け継がれるベストプラクティスをもとに経験を「再生産」することを私たちは求められてきたのかもしれない。


けれど、VUCAの時代。

AIが発達し今ある1/3の仕事がなくなる時代。

商品の短寿命化が進み、絶え間なく・かつ多様な価値創造が求められる時代。

組織と個人の選び合う関係がより強まる時代。

個々の能力や創造性を発揮することが求められる時代。


これまで以上に、正解はなく、その時その時・一人ひとりにとっての最適解を見つけていかなければいけない時代だ、と思う。


余計に、いま私たちがハマっている「選び取れない症候群」のままいくと致命的だ。



道なりに安穏とみんなが行く方へと乗っかるのではなく、覚悟とフットワークを持って自らの意思で自分を活かせる道を創っていくこと。


そのために必要なのは、2%の僅差を自分で決めて、前に進んでいくトレーニングではないか。


誰かに判断を委ねず、自分で決めて進む。

ざわざわしながらでも一旦決めてみる。

進みながら決めたことを正解にする。

ちょっとちがったな、と思ったらもう一度決め直す。


経験したから見えてくる意味がある。そして次の道が見える。


唯一無二の正解がないということは、唯一無二のルートもないということ。

そもそも100点満点の選択もない。


いつからだってどこからだって選び直せばいい。




米スタンフォード大学教授のハリージェラットは積極的不確実性というキャリア理論を唱えている。


未来は予測不可能で不確実なものだからこそ、論理的・合理的な選択だけでなく、夢・直感・感性に基づいた選択も積極的に取り入れていこうというもの。


2%の僅差を自分で決めて、前に進んでいくために必要なものは、

合理的に論理的に、頭で考えて”正しい”選択肢を選ぶことが是だという、これまでの当たり前からのアンラーニングでもある。



「説明はできないけれどこっちの方が私らしいと感じた」

「リスクを取ってでもこっちの道にチャレンジしたいと思えた」


不確実な未来を積極的に選び取るために必要なものは、結局のところ好奇心や勇気、安心のタンクを満たすことだと、たくさんの人の選択に触れて感じている。



「これをやってみたらどうなるだろう?」

「やったことがないからやってみよう」

「私だったら、このメンバーとなら、大丈夫だ」


直感の精度を高め2%の僅差を選び取る経験を重ねていくことで、「これでいい」と思える轍(わだち)がたくさんのびていったら面白い。



あなたが、最近選び取った「2%」は何ですか。




最後に河合先生の名言集からこの一節。

真面目に、でも軽やかにユーモラスに生きたい。







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