- 横山 佳菜子
どのサブシステムを担いますか?
こんにちは。横山佳菜子です。
誰かのライフストーリーを聴くのが好きです。成功者に限らず、たくさんの「普通」の人のストーリーを聴くことができるキャリアカウンセラーの仕事は最高だな、と感じています。
「普通」と言われるキャリアの裏側にも、ほぼ例外なくエキサイティングなストーリーが存在することに震えるくらい惹きつけられます。
世の中には「普通」はないんだなあ、すべての人が「多様」なんだなあ、そして日々の出来事の積み重なりで予想外の場所へと運ばれてしまうキャリアの美しさに日々感動したりしています。
そんな風にライフストーリーマニアな私ですが、昔から有名な起業家の起業ストーリーを読むと、気になっていたことがありました。
「なぜその事業をやろうと思ったのですか?」とのインタビュアーの質問に対して、「(その問題の存在を)知ってしまったから」という返答がよくあるのです。
正直、気になりながらも、若かったころは「大きなことを成し遂げる偉大な人は違うなー」なんて思っていました。
見方が変わったのは、元ライフネット生命会長で創業者の出口さんの記事を読んでからです。出口さんは言わずと知れた、対面営業が当たり前だった生命保険業界に「ネット販売」を持ち込み、現社長の岩瀬さんとともにイノベーションを起こしたことで有名な方です。 ======================
<以下出口さんインタビュー抜粋>
■「日本経済新聞 「サブシステム」を担う」より
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO90711360Z10C15A8X12000/
世界は広く、自分1人で全てを変えることは残念ながらかなわない。
そうであれば、自分は今の置かれているポジションで何をすれば、世界を変えることにつながるのか。それをひたすら考え続けていくことが人間が生きる意味であり、働く意味であると僕は考えている。
「今生きている世界をどのように理解し、どこが嫌で、どこを変えたいと思い、自分は何をすることができるのか」。僕はこれを「世界経営計画のサブシステム」を担いながら生きると呼んでいる。
(中略)
これがライフネット生命保険の起業の動機であり、僕なりの世界経営計画のサブシステムの担い方だった。
世の中を変えていくということは、何もベンチャー企業を起業して、世の中を変えるということではない。人間は誰しもが、世界経営計画のサブシステムを担っているはずだ。
<抜粋終わり>
======================
また、別の記事では、組織の中で「自組織をよくするサブシステムをいかに担うか」という文脈でも語っておられます。こちらもよかったらぜひ。 ■マニフェストなき組織に明日はない ―ライフネット生命社長 出口治明の仕事論http://careerhack.en-japan.com/report/detail/69
====================== これらの文章を読んだとき、世の中のすべてをひとりで変える必要もないし、そもそもそんなことは不可能。だからこそ、個人が最も問題意識や使命感を持てる部分があれば、それがどんなに小さな事象であっても、世の中を良くすることに繋がっていく。
自分という存在を通して、問題意識を持たずにはいられない興味領域と、自分自身の強みやリソースをフルに使う覚悟さえ持てれば、「世の中を良くするサブシステム」を担うことになるんだな、と勇気づけられたことを今もはっきりと覚えています。
組織の主流にいなくても、脇役だったとしても、自分がいる持ち場から自分が信じるやり方で組織に影響を与えることはできる。
「誰かに言われたから」「会社で決まっているから」と、自身が影響を与える方向性を誰かに委ねてしまわず、自分自身の感性に問うことはできる。
社会を大きく変える能力がなくても、大きな集団の一員から外れたとしても、自分が気になって仕方のない半径5メートル以内の問題をひとつひとつ拾い上げていくことはできる。
むしろそのことにこそ、多様な世の中を構成する一人として自分という存在が、ここにいる意味になるのではないか。
そんなことを考えながら流れ着くように出した一つの結論が、わたしはたまたまキャリアカウンセラーとして、一人ひとりのキャリアにともに向き合うことでした。(私自身のライフストーリーは、また別の機会に^^) あなたはどのサブシステムを担っていますか?
気になって仕方がない問題は何ですか?